メニエール病症状

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メニエール病の症状 は気づきにくい… 早期発見・治療に向けた対策は?

公開日
更新日

 
執筆:Mocosuku編集部
 
監修:株式会社 とらうべ
 
 
メニエール病は、めまい、耳鳴りを繰り返す病気です。最初にこの病気について報告をした医師の名にちなんで(プロスペル・メニエール)「メニエール病」と言われますが、「メヌエル病」「メニエル病」「メニエール氏病」とも呼ばれます。
 
このメニエール病は、初期段階で適切な治療を行えば、完治が期待できる病ですが、早期発見・早期治療が難しい病気でもあります。
ここでは、まずメニエール病の概要について説明し、続いて メニエール病の症状 について詳しく説明します。
 
 

内耳の構造は?

 
この項では、メニエール病と関連の深い内耳の構造について説明します。
内耳は聴覚を制御する蝸牛と、平衡機能を司る「前庭」から成ります。前庭は、「三半規管」「卵形嚢」「球形嚢」の3つを指します。
 
蝸牛はリンパ液で満ちています。蝸牛のリンパ液が、振動により揺れて動くことで大脳に伝わることで音を認識し、三半規管は回る動き、球形嚢と卵形嚢は重力、遠心力等の動きを感じとります。
 
 

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メニエール病の原因:内リンパ水腫とは?

 
内リンパ水腫とは、内耳のリンパが増加し、水膨れとなった状態です。
メニエール病は、これが原因となって引き起こされます。リンパには、内リンパ液と外リンパがあり、通常膜によって隔てられています。
 
内リンパ水腫の内圧が上昇することによって、内と外のリンパを隔てる膜が破れることがあります。そうなると、外リンパと内リンパが混合し、平衡や聴覚をつかさどっている感覚細胞が化学的、物理的な刺激を受けます。
 
その結果としてめまいや耳鳴り等の症状が現れるのです。
 
 

内リンパ水腫と症状の関連性

 
この内リンパ水腫が起こる場所と程度により現れる症状が異なります。また内リンパ水腫は主に片方の耳だけで起こりますが、両側に起こる割合も2~3割に上ります。
 
1)蝸牛が内リンパ水腫の場合
この場合、めまいは感じず難聴だけを自覚します。内リンパ水腫の程度が弱い場合は、難聴とはならず、「耳の閉塞感」や「耳鳴り」、「音が響く感じ」等の症状を自覚することがあります。
 
 
2)耳石器・三半規管が内リンパ水腫の場合
この場合は、めまいの症状がでます。めまいの感じ方も激しいものから、何となく歩いているとフワフワする等多岐に渡ります。
 
 

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メニエール病の根本原因は不明!?

 
この内リンパ水腫が起こる原因は、不明です。
アレルギー、血流不全、ウィルス、免疫の低下などを原因とする諸説ありますが、未だはっきりしてはいません。
 
先進国での発症例が発展途上国と比較すると多いため、ストレスに起因するのではないかとも言われています。気候の変化、気圧の変化により症状がでやすくなることも分かっています。
 
 
メニエール症候群という呼称も聞くことがありますが、メニエール症候群は、メニエール病のように原因不明のめまいなどの症状を繰り返す状態を意味しています。
 
 

メニエール病の初期発見の難しさと重要性

 
前述したとおり、メニエール病は初期の段階で治療を行えば完治する場合もありますが、初期の段階で症状を見つけるのは難しい病気です。
なぜなら、患者はめまいや耳鳴りがしても、気のせいかなと見過ごしがちだからです。
 
人によってめまいや耳鳴りになる頻度や症状が異なるため(めまいや耳鳴りが起きても、次に発症するのが数ヶ月後だったり1年後だったりするケースもある)結果として症状が悪化しなければ病院に行かないのです。
 
メニエール病を放置するとさらに進行し、聴力の低下につながる可能性が高くなります。
 
 

メニエール病の初期症状

 
メニエール病を早期発見するには、その初期症状を理解しておくことが重要となります。また、メニエール病の特有な症状を「繰り返す」ということは、医師が診断するときの重要な判断材料にもなります。
 

回転性めまい

メニエール病の代表的な症状がめまいです。
前触れなく突然激しいめまいが起こり、立っても横になっても気分が悪いと言う状態になります。このめまいの発作は約10分程度から数時間継続します。めまいと共に、冷や汗、吐き気、耳鳴りや難聴が起きることもあります。めまいの発作としては、回転性のものでない場合もあります。
 
 

耳鳴り・耳が詰まった感じ

めまい発作とともに、あるいは発作前後に、耳鳴りや耳が詰まった感じが起こることが多々あります。
この耳鳴り・閉塞感は、めまいが消えるとおさまりますが、耳鳴りの発作を繰り返していると、いつでも耳鳴り・閉塞感が生じている状態になります。めまい発作より、耳鳴りなどの耳の症状を主に感じる人もいます。症状は、片方のことが多いですが、両方の耳に現れることもあります。
 
 

頭痛

めまいとともに頭が重く、押しつぶされるような頭痛を感じることもあります。頭痛はメニエール病以外の病気でも起こる症状です。とくに意識障害やろれつが回らないといった症状を伴うものはメニエール病の症状ではな、脳に問題がある可能性もあります。そのため、このような頭痛が起きた時には、早急に医師の診察を受けてください。ただしひとりで病院に行くのは難しいため、他の誰かにつきそってもらうか、誰もいない場合は救急車を呼ぶことも考えてください。
 
 

難聴

難聴には様々なパターンがあります。
例えば、頭痛やめまいと同時に発作が生じたけれど、一時的に発作がおさまり、忘れた頃に発作が生じなくなるものや、発作を繰り返すうちにだんだん聴覚が低下するケースです。どのケースにおいても低音が聞きづらくなります。
 
 

吐き気

めまいに加えて、吐き気を伴うことが多く、実際に嘔吐してしまう場合もあります。また、めまいが無く、吐き気のみ起こる場合もあります。
 
 

平衡感覚の異常

めまいの発作が起き、平衡機能に異常がおこる場合があります。
この場合、めまいが起きていなくても、フワフワするカラダが傾いている…といった感覚になります。
 
 
次にメニエール病の症状について段階別にみていきましょう。
メニエール病は、その経過によって3段階に分けることができます。患者によって症状の経過は様々ですが、標準的なものについてみていきましょう。
 
 

メニエール病の症状 :初期

 

メニエール病はめまいから始まるとは限らない

初期症状として多く見られるのは、低音性の難聴や耳鳴り、耳の閉塞感です。
耳の初期症状が再三にわたり起きた後、めまいの症状が表れるケースがあります。また、急な激しいめまいから、難聴になるケースもあります。
 
メニエール病と聞くと、めまいを連想しがちですが、めまいから始まるとは限らない点を留意しておきましょう。
 
 

メニエール病を初期段階で検知するのは難しい

初期の時点では、他の疾患と同様の症状が見られるため、医師がメニエール病と診断を下すのが難しい場合があります。
このように、症状が他疾患とはっきり区別できないため、患者本人も、疲労のため起こるめまいではないかと思いがちな為、前述したとおり、早期発見の妨げとなっています。
 
 

メニエール病の症状:活動期

 
活動期とは、繰り返しめまいなどの症状が生じる時期です。この時期であっても、特に目立った症状が出ない時期を間歇期と言います。
 
例えば、毎日から毎月の感覚で症状がみられる状態が、数ヶ月に渡って継続後、その時期がすぎると、発作の頻度が数ヶ月に1度程度になることもあります。
間歇期は特に目立った症状が出ない時期の為、治癒したと勘違いし、治療の遅れにつながることがあります。
 
 

メニエール病の症状:慢性期

 
慢性期とは、繰り返しめまいなどの発作が生じる活動期とめまいなどの発作が出ない間歇期を繰り返していくことで聴覚機能が低下し、はっきりと分かる耳鳴りや難聴となります。はっきりと分かる耳鳴りや難聴になる慢性期になってから、初めて病院に行きメニエール病と診断されるケースもあるのです。
 
慢性期の状態を放置しておくのは禁物です。
両耳の聴力が無くなることもあり得ます。医師の的確な診断と治療が必要です。
 
 

慢性期でも完治するの?

 
メニエール病は、治療を始めるのが早ければ早いほど、治る可能性が高い病気です。
 
ただ慢性化してしまうと、完治は難しくなり、聴力低下の可能性も高くなります。ただその場合でも、治療を行う事により、症状を軽減することはできます。
 
 

メニエール病の治療

 
メニエール病の治療は難しく、基本的にはその症状の緩和を目指す治療法が取られています(4)。
メニエール病の治療法としては、
 
・薬物治療
・栄養療法
・手術

 
などの方法が挙げられます。
 
 

薬物療法

メニエール病の中心的な治療法です。症状に対して治療薬を処方し、それを服用することで発作予防を行うというものになります(4)。
 
メニエール病は時期によって症状が異なるため、違った薬が処方されます。活動期はめまいの症状がひどいことが多いため、その症状を抑えるための薬と、発作と同時に起こる不安感を解消するための薬が処方されます。めまいには市販の酔い止め薬も効果がありますが、持病を持っている方は使えないことがあるのでよく確認してから購入するようにしましょう。
 
対して慢性期の治療では、水膨れ肥大を抑制し、軽くするために、体内の余分な水分を排出させる利尿剤や低下した張力の改善のためにビタミン剤を用います。
 
【メニエール病の治療の主な薬】

  • ・抗めまい薬、鎮吐薬:神経の興奮を抑え、めまいや吐き気を和らげる
  • ・自律神経調整役:自律神経のバランスを整え、症状を緩和する※
  • ・血流改善薬:血液循環を活発化させ、内リンパ水腫の吸収を促す
  • ・炭酸水素ナトリウム:内耳の血流をアップさせる
  • ・精神安定剤、抗不安剤:めまいによる不安を和らげる
  • ・ビタミン剤
  • ・利尿剤

 
※編集部注:
自律神経失調症のチェックについて説明した「自律神経失調症のチェック」
 
自律神経失調症の薬について説明した「自律神経失調症の薬」
も参考にしてください。
 
 

栄養療法

めまいなどに効果的な栄養素を摂取することで症状の緩和や予防を目指す方法です(4)。発作の予防には主にビタミンや食物繊維が効果的とされています。また最近では、アミノ酸などの酵素による症状の改善が注目されています。
 
・ビタミン
末梢神経の働きに効果があります。メニエール病の症状である難聴、めまい、耳鳴りに効果があるビタミンは、ビタミンBやビタミンEなどが挙げられます(5)。食品としてはカキ、サンマ、アサリ、レバーなどが挙げられます。
 
 
・食物繊維
食物繊維を摂取することで血流の改善を促し、耳に酸素や栄養を行きわたらせやすくして症状を緩和させることができます。野菜や豆、いも、穀類、海藻などに多く含まれます。
 
 
・酵素
酵素は、自律神経やホルモンバランスを整える効果や血行を促進する働きをもつアミノ酸を多く含んでいます。ホルモンバランスの調整や血流の促進はめまいの改善に効果があります。
 
 

手術

前項で紹介した方法で症状がおさまらない場合は、手術を検討します(4)。
メニエール病の手術で良く行われるのが、「内リンパ嚢解放術」又は「前庭切断手術」です。
 
・内リンパ嚢解放術
内リンパ嚢と呼ばれる部分に穴をあけ、リンパ圧を減圧させて症状の改善を目指します。
 
 
・前庭神経切断術
聴覚神経に傷を付けず平衡感覚を司る前庭神経を切断します。
 
 

留意事項

 
メニエール病の治療は、長期的な通院が必要になることもあります。
通院が面倒だったり、症状が緩和されてきたからと言って勝手に治療をやめてしまうと、症状が慢性化してしまう危険性があります(4)。メニエール病の改善には継続的な治療が大切なのです。
 
 

メニエール病の診断

 
メニエール病の診断は難しいといえます。ほかの病気と間違えられることが多いからです。そして、発見が遅れて治療が遅くなるとそれだけ治るにも時間がかかります。
 
メニエール病の診断は、慎重に行う必要があります。症状が似た疾患があるので、それらを除外することが大事です。
めまい発作に伴う難聴・耳鳴り・耳閉感などの聴覚症状があるのがメニエール病です。メニエール病は、めまいや難聴以外の意識障害、複視(モノが二重にみえる)、構音障害(発声障害のひとつ)、嚥下障害、感覚障害、小脳症状(運動失調)などの中枢神経症状を伴うことはありません。
 
とくにめまいや耳鳴りが、内臓や脳からくるものであれば、メニエール病以外の病気が原因となります。耳の内耳に問題が見つかれば、メニエール病が疑われます。
そのほか、次のような検査を行うことでメニエール病かどうかを診断します。ただし、検査自体をきちんとしてくれる医療機関が多くなく、受診のさいは、病院を調べて行くようにしましょう。
 
 

メニエール病の検査

〇平衡感覚検査

通常だと、目を閉じてもまっすぐに立つことができるでしょうが、メニエール病があるふらつきます。目を閉じて30秒間足踏みする検査では、内耳の悪い方へと寄っていってしまいます。
そのほかにも、片足で立つ「直立検査」、かかととつま先をくっつけて立つ「マン検査」などがあります。
 

〇聴力検査

難聴の程度を調べるもので、高音や低音を聞いて音が聞こえたときにボタンを押すという検査です。メニエール病では、低音障害が出ます。
 

〇眼振検査

めまい発作時に眼球は激しく揺れ動いています。この動きを眼振といいます。この検査は、物を注視した状態、注視しない状態、頭の位置を変えた状態などで眼振をみます。
 

〇フロセミド検査

利尿剤のフロセミドを静脈に注射するという、前庭刺激検査を行います。前庭刺激検査とは、左右の耳に水を入れて、三半規管を刺激してめまいを誘発し、左右の前庭機能の比較を行うものです。注射後に機能の改善がある場合は、内リンパ水腫が推定されます。
 

〇グリセロール検査

グリセロールという脳圧下降剤を点滴します。グリセロールには利尿作用があるので、点滴終了後、聴力検査をして、聴力の改善があった場合は内リンパ水腫が推定されます。
 

〇その他の検査

メニエール病は、CTやMRIで診断ができません。メニエール病に似た症状で、脳神経症状のある病気を除外するために、画像診断をすることがあります。聴神経腫瘍や脳幹卒中などとの鑑別のためです。
 
 
【参考文献】
(1) 日本神経学会 
(2) 井上耳鼻咽喉科
(3) メニエール病ガイド 
(4) メニエール病の原因、症状と治療法がよくわかる改善ガイド 
(5) 新宿溝口クリニック 
 
 
監修者プロフィール :
株式会社とらうべ:医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など、専門家による、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 
 

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関連した情報として以下のようなものがありますので、ご参考にしてください。
 
英国Imperial College Londonの研究チームはステロイド鼓室内注入がメ二エール病の症状であるめまい発作の回数減に効果があることを2016年11月に発表しました。詳細についてはLANCET誌のIntratympanic methylprednisolone versus gentamicin in patients with unilateral Ménière’s disease: a randomised, double-blind, comparative effectiveness trialをご覧ください。
 
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